法家思想に基づいて  ≪中国・歴史・テレビ≫

「価格の安定によって民生の安定を図っている」と唱える政府側と、儒家思想に基づいて「国家の倫理観の問題に加えて、政府の諸政策の実態は決して民間の需要に適っているわけではないために、却って民生の不安定を招いている」とする知識人側との議論は、財政問題から外交・内政・教育問題にまで及ぶなど激しい議論が続けられた。

議論自体は知識人側の優位に進んだものの、具体的な対案を出せなかったために結果的には現状維持が決められ、さらに翌年、桑弘羊が別件で処刑されて霍光が政権を掌握した後も、実際の財政状況が深刻なものになっていることが判明したためか、酒の専売を廃止した他は、そのまま前漢末期まで維持されることとなった。
この議論の記録を纏めて「塩鉄論」を著した桓寛は、この論争からしばらく経った宣帝期(紀元前60年代)の官吏である。

だが、恐らくは始元6年当時の討論には参加していなくても同時代人として関心を寄せており、当時はまだ残されていたであろう討論の記録を目にする機会もあったと考えられている。

登場人物を丞相・御史大夫とその部下各1名ずつ、それに賢良・文学の計6名に絞った会話形式に改めるなどの整理潤色がなされているものの、当時の歴史記録との整合性は高く、内容的にはほぼ討論の内容を忠実に再現したものと考えられている。

このため、当時の政治・社会・経済・外交の実態を知る上に貴重な資料を提供していると言える。
update:2009年09月25日